その女、最強総長【完】
その時、俺は昨日のセイとのやり取りを思い出した。
「僕、明日お母さん連れてきてあげるね!!!」
「お母さん……?」
普段お母さんのことを気を遣っているのか、あまり触れてこないセイ。
突然そんなことを言い出すので驚きはしたが、
俺はそのセイの言葉をいつもの冗談だと受け流していた。
~~~~♪~~~~♪
聞きなれた着メロが静かな夜道に響く。
ピッ
「もしもし?」
「仁お兄さん、今、駅で迷い子拾いましたよー。」
スピーカーの奥から『はなせ!』と喚く、セイの声が聞こえた。
「助かる。今すぐそっちに向かうからその場を離れないでくれ。」
「りょーかいです。」
ピッと電話が切れると俺は全速力で駅に向かった。


