どうして好きなんだろう
期待なんかしてなくて、直も私のことを好きでいてほしいなんて、これっぽちも思っていなかったはずなのに。
そう言い聞かせていたはずなのに。
義人にそう言った直を想像するだけで、どうしてこんなに心臓が止まりそうなくらい痛いの?
耳元で、頭の中で、ズキンズキンと音が鳴る。血管が膨れ上がっているようにその存在を煩いくらいに主張して、思わず自分の首の辺りを押さえてしまう。
苦しい、苦しい……こんなに胸が締め付けられて苦しいことを今まで知らない。
「理央…?」
返事のない私を、まだ怒っているのかと焦ったように近づいてくる。
もう日も傾きかけて薄暗くて、俯いた私の顔はこんな時にしか役に立たない長い髪に隠されて全然見えないはずだけど、視界を歪ませるくらいに溢れ出ている涙を見られたくなかったから。
「義人の気持ちは、わかったよ。ありがとう。私のほうこそ…ごめんね。」
びっくりしてカカシみたいに立ったままの義人の胸に飛び込んで顔を埋める。