どうして好きなんだろう
「ううん…嬉しい。」
「え?」
呟きすぎて本当に聞き取れなかったのか、直の顔が近づいてくる。
直の瞳の中に私が映り込んでいるのを認めて、慌てて俯くけれど、その私の耳は真っ赤に染まっているはず。
「あ、あのさっ、なんでゆりちゃんと別れちゃったの?」
慌てた所為で自分にとって何の得にもならない質問を口走ってしまう。
直の口からゆりちゃんの名前を聞くことだって息が止まりそうになるくらい苦しいのに。
私の質問のせいで直がゆりちゃんを思い出して切ない表情をするかもしれないことだって掌に爪がくい込むくらい嫌なのに。
俯いたまま声が降りてくるのを待つけれど、身動きさえしてないように感じる直。
あまりの静けさに、そっと隣を伺おうとする私の耳に、信じられないくらい冷たく、低い声が入り込む。