どうして好きなんだろう

目に溜まる涙を制服の袖でぐいっと拭い、スカートをはらって立ち上がる。

「ほんと、変なこと言ってごめんね。私そろそろ帰るね。今日はありがと。」

視線は逸らしたまま早口に言って踵を返そうとした私を、直の長い腕が絡めとる。

耳元に直の息遣いが聞こえて、思わず緊張で身を硬くする。


「…理央、泣くなよ。」

きつく抱きしめるでもなく、でも逃がしてはくれない強さで捕らわれる。

なぜか苦しそうに、つらそうに聞こえる直の言葉に、自分の心臓も軋む音が聞こえる。

直の触れている私の両腕が、直の前髪が風にそよいで触れる首筋が、熱を持ったようにジンジンと拍動する。



直のこの声も、息遣いも、長い両腕も、全部私のモノならいいのに。
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