君のコト、さらっていいですか…?
「あーどうしよー」

頭を抱えた文が言った。

「どうした?」

帰宅部の私は帰る用意をしていた。

「あたし傘忘れてさー、部活あるし…」

さっきの真っ赤とは違って

頭をボリボリかいて喋っている。

「はい、貸すよ?」

折り畳み傘を差し出した。

「え、でも莉津が帰れないじゃん」

さっきの私と同様、傘を返してきた。

「置き傘あるから大丈夫☆」

半ば(なかば)強引に押し付けた。

「じゃあ借りるね?ありがと」

笑って喜んでいる。

「うん!」

今更いうのもあれだけど

やっぱり嬉しい。


       ………


___なーんてね、

置き傘なんて無いけど?

      

まぁいいや(笑)帰ろ…

体を外へ向きを変えたときに

聞き覚えのある声が聞こえた。

「弁当ビチョビチョ女?」


そのあだなにカチンときて

落ちていたソフトボールを投げてみた。


「つってーな!」

少し笑いながらいかにも

平気そうだった。

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