ピュアなんです。
さっきまで怖さで震えていた足が、普通に走っているのが不思議だった。
ちょっと走ってからまた路地に入る。
呼吸を整えて落ち着ける。
路地 男と二人
あれ、またやばいんじゃね?
「大丈夫ですか?」
頭の上から声がする。
あんだけ走ったのに息が切れてない。
月明かりが雲の間から射し始める。
「なんとか巻いたから大丈…て委員長!?」
顔上げると男が驚いた。
私も驚いたが声が出ない。
「な、なか……」
「あ、違ったらすみません。委員長がこんな可愛らしい格好するわけ…」
「安心しろ…間違いなく浅川棗だよ」
「あ、よかった」
月の光で明るくなって、中野の姿がわかり始める。
中野の姿はなんとスーツ姿だった。
「なんでオシャレなんかしてんの?まさかのデート?」
「お前、さっきから失礼だな。美季に振り回されただけだよ」
「ごめんごめん!ていうか大丈夫!?変なことされなかった?」
「んまぁ…大丈………」
揺らぐ視界と遠くなる意識。
体が重い…。
「委員長!!!」
中野の焦る姿が目に焼き付いた。
甘い香り。
香水だな、しかも男用。
「委員長!!」
「ふぇい!?」
急にクリアになった視界の大半を占める中野の顔。
「なななに!?中野何!?」
「委員長ー!目覚めてくれてありがとう!」
「お、おう?」
何故だか私の手を握り締める中野。
私そんな長い時間寝てたのか?
あれ、てかなんで寝てたんだっけ!?
「体平気か?」
「ああ、ピンピンしてるよ。というか、ここ何処?」
そうだ、私不良3人組に襲われて中野に助けられたんだっけ。
中野は答えにくそうに目を反らすと驚くなよ?と前置きした。