あんたなんてほんと大っ嫌い! …嘘。大好き。【完】



「いただきま~す」


私はバンにかじりつく


「起こしてきてくれた?」

お母さんがこちらを


振り向きもせずに


包丁の音を響かせながら


聞いてくる。


「起こしたよー。」


「そ?ありがと」


何げなく会話を


続けていると


お兄ちゃんが降りてきた


「母さん、百合を


部屋に入れさせないで


っていつも言ってる


だろ?」


はぁ!?


誰を起こしに行ったと


思ってんのよ!


「何言ってんのよ。


あんたが起きないから


でしょ?


それより、今日は


何かの会議があったん


じゃなかったの?」


「え?


あ、今日はオープン


キャンパスの会議が


あんだった!やっべ」

ダダダダとバンを


口にくわえてよくある

漫画のあのパターンで


家を出て行ってしまった


「ほんと、何がいいんだろう」

私はため息をついた


「ほら、あんたも


急ぎなさいよ?」


「はあい」


ん?メールが来てる


ま、いっか。


あとで見よう!







「おっはよー♪」


奈美が抱きついてきた


最近、奈美テンション


高いな…


もう一時間目が始まる


「あっ、じゃあねー


またお昼に来るよ」


なんでだろう?


あっ、そうか。


爽也が奈美一筋に


なったもんね


とか思いながら


教科書を出してたら


「はよ」


頭をポンと叩かれた

「ん?あ、勇輝」











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