東京+ラブクラフト
――… なんだろ
ハルトさん、 妙な顔してる
「 … 俺はいい
ケーキ、両手に持ってるから 」
「 ―――… ああ! そっか!! 」
確かに、ハルトさんの両手には
かなり大きなサイズのクリスマスケーキ
" でも、それなら私、一個持ちますよ "
そんな提案しようとした時
ルウちゃんの手が、スルリと離れた
「 …ルウちゃん?! ――― 」
「 一回、おうちに帰るー! またねー! 」
ア然としているうちに
信号の音が、けたたましく鳴って
ハチミツ色の髪をなびかせ
まだ駅に向かう人のほうが
断然多い交差点を渡り
改札前広場で、彼女の姿は消えてしまった
「 ―――― ルウちゃ…!!! 」