東京+ラブクラフト






夜明けの空とビルは
境界線が、かなり曖昧で
高架線下をくぐると
やっとネオンの明かりが見えて



実は、人がいっぱいいた方が
中に紛れて目立たないから
鼻をかみつつ、下を向きながら歩く








… 追えばよかった

迷わなければよかった…





バックの中には
ハルトさんに渡されたケータイ



'警察官としての箱森"にとっては
… すごいモノなのかもしれないけど





…… "リカ"にとっては
好きなヒトから渡されたケータイなのに
好きなヒトとの連絡手段もない
ホントに、無意味なモノだ…







「 ――― ぅあっ…!すみません! 」




よくわからないまま、とっさに避ける





「 大丈夫ですか?!
水、かかりませんでした?! 」




「 あっ… 平気ですよー
おはようございますー 」





「 おはようございます!
朝からホントにすみません! 」




顔を上げると
私とあまり、年が変わらなそうな
デニム地のエプロンをつけた
Tシャツ姿の青年と、目が合った





――――― あれ…?







< 363 / 369 >

この作品をシェア

pagetop