東京+ラブクラフト
夜明けの空とビルは
境界線が、かなり曖昧で
高架線下をくぐると
やっとネオンの明かりが見えて
実は、人がいっぱいいた方が
中に紛れて目立たないから
鼻をかみつつ、下を向きながら歩く
… 追えばよかった
迷わなければよかった…
バックの中には
ハルトさんに渡されたケータイ
'警察官としての箱森"にとっては
… すごいモノなのかもしれないけど
…… "リカ"にとっては
好きなヒトから渡されたケータイなのに
好きなヒトとの連絡手段もない
ホントに、無意味なモノだ…
「 ――― ぅあっ…!すみません! 」
よくわからないまま、とっさに避ける
「 大丈夫ですか?!
水、かかりませんでした?! 」
「 あっ… 平気ですよー
おはようございますー 」
「 おはようございます!
朝からホントにすみません! 」
顔を上げると
私とあまり、年が変わらなそうな
デニム地のエプロンをつけた
Tシャツ姿の青年と、目が合った
――――― あれ…?