触れないキス
「ゴメンね、牧原さん! なんかジュースの中に誰かが一つだけ酒を混ぜてたらしくてさ、見事に桜太が飲んじまったんだ」

「お、お酒!? じゃあ酔ってるの!?」


誰よ、お酒なんて学校に持ち込んでそんなことしたのはー!?

バレたら大問題でしょーが!!


「本当にちょっとしか混ぜてないんだぜ? それであんなに酔うなんて相当弱いぞ、アイツ」

「その前に、まず学校にお酒持ってきちゃダメでしょ!!」


気持ち良さそうに眠る桜太くんを、男子達が抱えて教室に運び込む。

私はその様子を、呆れたため息を漏らしながら見ていた。

そして、今度は女子達の羨む声が私を取り巻く。


「いーなぁ、瑛菜ちゃん! あたしも抱きつかれた~い!」

「あたしは抱きつきたい!」

「私は抱かれたい……♪」


もう~皆言いたい放題なんだから……。

こっちは心臓止まるかと思うほどビックリしたわよ!

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