やっぱり、好きだ。
 俺は女のコが多かった旅行サークルに入っていて、サヤ子も一緒に入部していた。

 サヤ子を待つべく部室に行くと、男女何人かが楽しそうに喋っていた。

 俺も混ざろうと、チャラい俺はその中にいる1番カワイイ子の隣に座り、その子の腰に手をまわすと、その子が俺の手をそっと払った。

 「翔太はサヤ子ちゃんの前でも平気でそーゆー事するよね」

 「何それ」

 払われた手を凝りもせずに女の腰に絡め直し、自分の方に寄せ付ける。

 「サヤ子ちゃん、翔太の彼女じゃないの??」

 『コラコラ』と言いつつも、まんざらではない様子の女。

 この女とヤリたいと思っていたその時の俺は、あろう事か、

 「はぁ?? 違うし。 アイツが勝手に付きまとってるだけ。 ストーカーなんじゃないかと思う時あるし。 まじで大学まで付いてくるとはね」

 サヤ子を気持ち悪い笑い者に仕立てあげた。

 「キモイね。 こわーい」

  女も周りにいたヤツらも、サヤ子をバカにしながら嘲笑した。

 本心では勿論ない。でも話を脚色して盛っておけば、その場は盛り上がる。

 おもしろおかしくサヤ子をコケにしてみんなでゲラゲラ笑っていると、誰かが俺の肩を叩いた。
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