やっぱり、好きだ。
 
 「ゴメンね!! 曲に乗せにくいカモだけど、こっちのほうが砕けてていいと思う。どうかなー??」

 そのくせ 勝手に歌詞を書き換えるサヤ子。 それを見てボーカルが固まった。

 「・・・取り敢えず、歌ってみろって」

 笑いを堪えきれていない安田。

 「・・・・イヤ。これはちょっと・・・」

 「イケるって。お前ならやれるって!!」

 戸惑うボーカルの口もとに、安田が強引にマイクを近づけた。

 観念したボーカルが歌う。

 ・・・さっきとメロディ違くね??

 歌詞乗せ切れなくてメロディを変えたらしい。

 自分で勝手に歌詞変えておいて、大爆笑のサヤ子と安田。 

 「あはは。ゴメン。やっぱ乗らなかったかー」

 「確信犯でしょ。サヤ子センセ」

  安田の言葉に『バレてた??』とサヤ子がにっこり笑った。

 サヤ子の笑顔は昔のままだ。

 あの笑顔は俺に見せない。

 俺に見せる笑顔はいつもどこか強ばっていて・・・。

  安田だから見せるの??
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