やっぱり、好きだ。
 
「隠しておきたかったんだ??」

 そんなサヤ子の手を避けながら、ケタケタ笑う安田。

 「そうじゃなくて、わざわざ人様に話すような事じゃないでしょうが!!」

 「俺は嬉しかったから言いたいもん。言いふらしたいもん。あと、振られた腹いせ」

  笑う安田の横で、サヤ子が真っ赤になった顔を両手で覆っていた。

 つまり・・・。

 「・・・サヤ子から安田にキスしたの??」

 「そう?」

 俺の質問に安田が意地悪く笑って答える。そして俯くサヤ子。

  「サヤ子、どういうつもり?? 俺が保健室の噂を消そうとしてる時に何やってんの??」

 ヤバイ。イライラが止まらない。頭に血が上っていくのが分かる。

 「・・・すみません。軽率でした」

 サヤ子は下を向いたままこっちを見ようとしない。

 「振っておいてなんでキスする流れになるんだよ」

 どんどん低くなっていく俺の声。その声が怖かったのか、サヤ子の肩がビクっと動いたのが分かった。

 「・・・やっと」

  怯えたサヤ子が遠慮がちにぽつりと零す。

 「やっと??」

 それでも俺は優しく話せない。

 「やっと、青山先生の気持ち分かった気がするんです」

 サヤ子が顔を上げ、俺を見た。

 俺の気持ちが分かったって、何それ。
< 190 / 353 >

この作品をシェア

pagetop