やっぱり、好きだ。
 
 「それが入試前だったから担任にすげぇ怒られたらしくて、サヤ子、それからしばらく眉隠しの為に強風ふいてもビクともしない、めっさ厚めの前髪作らされてた。だから、出会ったころのサヤ子はこけしバリのパッツン」

 「写真ないんすか??」

 「んー、実家帰った時探してみよっか??」

 「本気で必死で探して!! 全力で見たい」

 肩どころか手までも震わせて笑う安田は、上手く箸で唐揚げを掴めない様で、遂には挟むのをやめて唐揚げに箸をブチさして口に入れた。

 「そんな、こけしサヤ子は外人に憧れてただけあって『ナイジェ』ってゆーあだ名、お気に入りだったんだよなー。呼んでくれるヤツなんかリブしかいなかったけど」

 『ぐほッ』最早、安田に物を飲み込む力は無かったらしく、笑いながらも吐き出さない様に必死で口を両手で押さえていた。
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