やっぱり、好きだ。
「うーわ。ポン酒行っちゃたよ。そこ、割愛してイイッス。さっき聞いたし。じゃなくて、きっかけ聞きたい」
「・・・サヤ子を好きになったきっかけなんて、サヤ子にも話した事ないな」
サヤ子に話しておけばよかったな。
俺はなんでサヤ子に何も話してこなかったんだろう。
「安田は??」
「俺は・・・初日に既に好きになりましたネ。俺、男の新人が俺しかいないって知ってたから、『俺が引っ張ろう』って意気込んでたんだけど・・・まぁ、空回っちゃって・・・そんな俺を楽しげにサヤ子センセが見てて・・・もっと笑わせたいなーって」
その時の事を思い出したのか、安田が柔らかく笑った。
「俺は・・・俺、高校の時もカッコつけてばっかでさ。さっきも言ったけど、人気ある男子とつるんで、ギャルかカワイイ系の女子と戯れるのがイケてると思ってたわけ。だから、スゲエ楽しそうにしてるサヤ子と喋りたかったのに、仲間の目が気になってなかなか話かけられなかったのな」
「はは、ありがち」
安田が枝豆を食いながら相槌を打った。
そしてさりげなく、殻入れを俺側に置いた。
安田を躾けた親の顔が見てみたい。てゆーか、俺がこんなヤツになる前に俺の事も躾て欲しかったわ。