やっぱり、好きだ。
 
 「・・・確かに」

 「・・・ばか」

 「ホントにな」

 瑠美が持っていたミルクティーに手を伸ばし、蓋を開けて瑠美に手渡す。

 「泣きすぎて喉渇いただろ」

 「ばか・・・誰のせいよ」

  瑠美はオレからミルクティーを受け取ったが、口を付けることなくとめどなく出る涙を流し続けていた。

  「好きだよ、翔太」

 瑠美が泣きながら零した言葉。

 「・・・俺も好きだよ。 瑠美の気持ちに応えていられる俺でいたかった」

 これが真実だ。

  瑠美が大好きだ。泣かせたくなんてなかった。 

 この、悔しさに似た感情が瑠美に伝わって欲しい。

 この気持ちはなんて名前なの?? 名前がないなら伝える術を誰か教えて。

  目の前のかけがえのない人に伝えたいんだ。

 「・・・もし、私と高村先生が溺れていたら、高村先生を助けて2人で生きてね。私を助けて自分は高村先生と死ぬとか・・・残酷すぎる」

 そう言って瑠美はゆっくり俺に近づきキスをした。

 瑠美のキスは、涙の味で苦くてしょっぱかった。

 瑠美は唇を静かに離すと、何も言わずに資料室を出て行った。







 泣いていたのは俺だった。

 俺の涙の味だった。
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