やっぱり、好きだ。

 「俺、A型だし」

 「O型じゃん」

 「覚えてたんだ」

 「・・・違う。たまたまだよ。たまたま覚えてただけで・・・」

 サヤ子が一気にテンションを下げ、俯いた。 覚えててくれて嬉しいのに・・・。

 「サヤ子もO型で、昔のアダ名は『ナイジェ』で、理数系が苦手で、右手の手の平に握ると隠れるホクロがあって、つむじが2コあって・・・・俺、サヤ子の事、もっといっぱい覚えてるよ」

 俯くサヤ子の2つのつむじを指で押すと、サヤ子が目を丸くしながら少し後ずさった。

 「・・・ペナルティ決めた。サヤ子が覚えてる俺との思い出、忘れないで。 覚えていて欲しいんだ。サヤ子・・・俺、サヤ子の事を気持ち悪いとか思ってたら、一緒にアメリカ行きたいなんて言わないよ??」

 どうしたらこの誤解は解けるんだろう。

 サヤ子はストーカーなんかじゃなかったのに、未だに気にしている。

 「ありがとう、青山くん。・・・私、寝るね」

 サヤ子がブランケットを被って向こう側を向いた。

 ブランケットの中から鼻をすする音が聞こえた。
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