やっぱり、好きだ。
 そんなサヤ子を見て、

 「久々に見た。サヤちゃんが笑ってるとこ」

 俺が思っていた事を森田が言葉にした。

 「サヤちゃん・・・辛くない??」

 森田の言葉に笑っていたサヤ子がピタっと止まった。

 辛くないわけがない。でもだからと言って、森田に辛さを訴えて寄りかかるサヤ子を見たくない。でも、

 「全然辛くないよ。だって今から森田くんが肉まん買ってくれるから」

 サヤ子は、引き攣っているくせに無理矢理『ニィ』と笑って見せた。

 そんなサヤ子を見る森田の視線にドキっとした。

 森田は親友。だからすぐ分かった。 森田がサヤ子を好きになったんだと確信した。

 森田が『あんまんも買ったげる』とサヤ子の頭を撫でる。

 肉まんとあんまんを買ってもらうと、サヤ子は森田にお礼を言ってコンビニを出て行った。

 サヤ子を見送り、森田が俺の方に戻って来る。

 これから森田が言う事は分かっている。

 「俺、サヤちゃんの事好きになった」




 

 森田にサヤ子を渡したくない。

 サヤ子は誰にも渡さない。
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