やっぱり、好きだ。
 
 
 「サヤちゃんが前に『翔太に渡して』て言って俺に預けたノート、翔太に預ける前にちょっと見たんだ。英語、大好きなんだろうなって思った。凄く分かり易いし。サヤちゃんの喋る英語聞いてみたいなぁって思った」

 森田の言葉に、

 「英語学科の人に聞かせられる様なもんじゃ・・・」

 サヤ子が恥ずかしそうにふるふると頭を左右に振った。

 「英語学科の人に聞かせられない英語を、お金取って他人に教えてるの??」

 森田のいじわるな質問に、

 「I do not speak English for free」

 『タダでは喋らないんです』と、サヤ子が楽しそうに無料で簡単な英語を喋った。

 「Then,pay at the meat bun」

 『じゃぁ、肉まんで払うよ』と笑う森田に、目を輝かせるサヤ子。

 「さすが英語学科だね。聞き取り易い。綺麗な発音」

 サヤ子に褒められた森田は、照れを隠す様に、

 「meat bunの発音は誰にも負けねぇ」

 とふざけてみせると、サヤ子は吹き出し笑いが止まらなくなってしまった。
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