やっぱり、好きだ。
 


 「・・・ねぇ、サヤ子。大学の時、なんで森田の事振ったの??」

 リサはいい子。森田もいいヤツ。なんでサヤ子は森田と付き合わなかったのだろう。

 サヤ子の顔を覗き込むと、サヤ子はフイっと窓の方に顔を向け、

 「・・・翔太の事、しぶとく好きだったからだよ」

 ポソっと小声で答えた。

 窓には恥ずかしがるサヤ子の顔が映っていて、もう、愛おしくてたまらない。

 あぁ、愛おしすぎて食べてしまいたい。

 人が何故キスをするのか分かった気がする。食べたい願望からだ。絶対。

 でもこれを口に出すと違う意味にとられて、サヤ子がまた変なプレッシャーを感じてしまうだろうから敢えて言わない。








 あー、もう。違う意味でも食いてぇ。
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