やっぱり、好きだ。

 「森田、リサがそんな事考えてるって知らないから、めっさ頑張って、親を説得してアメリカ残ろうとしてるんだよ。早く森田に教えてやらないと」

 まだ離陸前だったのを、『今がチャンス』とばかりに、ポケットから携帯を取り出し、森田にメールを打とうとすると、サヤ子が携帯の画面に手を置き、メールの作成を阻止した。

 「リサが自分の口から言わない事を、翔太が伝えてどうすんの。もう少し発音が上手に出来る様になったら、直接森田くんの両親に挨拶に行くって、リサが言ってた」

 「カッコイイな、リサ」

 「森田くん、いい子捕まえたよね」

 サヤ子の言う通り、リサは確かにいい子。だけど、

 「俺の方がいい子捕まえたし」

 俺にとっては、サヤ子の方がいい子。サヤ子の手を握ってチラっとサヤ子に目を向けると、

 「・・・恐縮です」

 サヤ子が照れながら、でも嬉しそうな顔をした。
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