やっぱり、好きだ。
 
 「・・・ふーん?? やっぱ俺には分かんねーな」

  青山先生が諦めたように、両手を上げて背伸びをした。・・・って、やっぱ分かんないのかよ!!

 「安田の言ってる事って、俺からすれば『瑠美が好き』って言ってる様に聞こえるんだけどさ、ただ、安田って普通の人間の3倍は優しさ濃度高いじゃん。だから『好意』じゃなくて『優しさ』なのかもとも思うし」

 「・・・何スカ?? 『優しさ濃度』って。つーか、全然優しくないしね」

 あー、青山先生の行く末が心配。こんな俺が『優しい人間』に見えるとは・・・。

 この人、いつか絶対悪いヤツに騙されるわ。

 「本当に優しい人間は、自分が相当優しいって事に気づかないもんなんだな。ま、いっか。取り敢えず瑠美の事、ちゃんと連れて来いよ。安田が誘った方が瑠美も来やすいと思うしさ。俺やサヤ子も、瑠美とギクシャクしたままってすげぇ嫌だし。安田に協力してほしいんだよね。アイツらには、『安田たちをニヤついた目で見んじゃねーぞ』って言っとくから。じゃあ」

 言うだけ言って、俺の返事も聞かずに放送室を出て行った青山先生。

 ・・・じゃあって。

 しかも、ちゃっかり放送室の鍵置いてってるし。

 「・・・戸締りしろってか」

 鍵を掴んで放送室を出る。・・・のをやめて、ポケットから携帯を取り出した。
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