やっぱり、好きだ。

 「戻らないよ」

 だけどサヤ子は、俺の応援さえも受け取る気はないらしい。

 「なんで!?」

 俺の事はともかく、どうしてサヤ子は森田の気持ちまでも汲もうとしないのだろう。

 「私、1年の時に森田くんと話した事覚えてるの。森田くん、2年になって留学してあっちの環境が気に入ったらあっちの大学の編入試験受けようと思ってるって。森田くん、優しいから留学前に私といたら、私を心配して『留学期間終わったら日本に帰ろう』とか思いかねないでしょ」

 サヤ子の喋る、何ともサヤ子らしい理由に、

 「フッ」

 思わず口端から笑いが零れた。

 俺はサヤ子がやっぱり好きだな、と再確認させられた。
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