君が居た世界が、この世で一番愛した世界だったから。
此処に来て、数時間。
一人で一定の場所に居続けた事が、久しぶりの様に思えた。
最近では落ち着きが無く、一つの事をただ黙ってジッとやり続ける事が出来ないと自覚していた。
波がもう、足元ギリギリまで流れてくるくらいだから、随分と時間が過ぎたのだと思う。

ここにきてから、私以外の人影を見ていない。
この時期だから、仕方が無いのかもしれないけれど。

「寂しいでしょ。素直になりなよ。」

仲間になれよ、と誘惑するように海に投げ掛ける。
「お構い無く。」とでも言いたそうに、陽が溶けるオレンジ色を受け取り、海の色が変わっていく。

そのオレンジ色を見つめながら、私は立ち上がり、海に背を向けた。
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