Oursecret
─────たとえ義親子であっても真実からは逃れられない。海斗はだんだん溢れてくる涙を拭いながら話しかける。


「義父さん…ごめんっ…こんなっ…子で…っっ…ごめん…あの頃の反抗心さえ、義父さんへの恐怖さえなければこんなこと…なかったのにな。ハハッ…ふっ…うっ…うぅ……くっ…ごめん……義父さん……さよなら…義父さん…」


鼻をすすりながら涙を流す海斗をクローンはフッと微笑み柔らかい口調で声をかける。


「いいんだよ…海斗…俺が悪にさえ呑まれなければこんな態度を海斗にとることなんてなかった。狂い始めたのはちょうど15年前くらいかな…海斗が物心つく前俺はある人に出会った。そこからだんだん心が崩れ落ちてきた。謝るのは俺の方だ…すまんな…さぁ…早くやってくれ。俺が消えれば人間共も、記憶も、俺がいなかった違う日々を取り戻す。さよなら…海斗…」


私はグッと拳を握りしめ唇を噛み締め、嗚咽にただ耐えていた…2人は涙を流し別れを言い合う。



「もし…もしさ…」


唐突に話を切り出した。

「あなたが闇にとらわれなかったら今頃どうなってたのかな…」


2人はとても柔らかくも哀しい表情をしていた。

答えは1つなんだ。





─────────平和が続き、家族の絆が失われず毎日楽しく暮らしている。たとえ力があったとしても、今のような結末にはならない。



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