ホームレスな御曹司…!?
「順を追って話す。まず、昨夜、凛と飲んでた事は?」


「あの…」


「ん?」


「とりあえず…トイレから出ません?」


「あぁ。いつまでも便器と友達じゃあ、な。もう気分、平気か?」


「ハイ…」


「そ。なら、部屋で話そうか」


頷くと、男の人はコートの裾で匂いをまき散らして、小さなリビングのテーブルの前に座った。


あたしはキッチンで渇いた喉に水を流し込み、手早くインスタントコーヒーを2つ作って向かいに座る。


うん。


コーヒーの匂いで、どうやらこの人から発せられる匂いはごまかせそうだ。
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