朝の吸血鬼(編集中)

原因は分かっている。

あの脳天気で、「熱血さ」や「実直さ」などと言う、教師にとって必要不可欠となる性質を一切持ち合わせていない、我がクラスの担任、

宮島たか子

のせいだ。


担任をもつのは初めてらしく、

教師になってまだ間も無いあのヒト、

いや彼女は、

クラスのゴシップ担当の中島(なかじま)いわく、

どこぞやの"金持ちのお嬢様"らしい。


そんな中島の口車に乗るわけではないが、

彼女は確かに、そんな言葉が一番しっくりくるタイプのヒトである。


何をするにも生徒任せで、

クラスのゴタゴタは全てクラス委員の後藤田が統括していると言っても過言では無い。

おそらく、

「担任」というよりも「放任」と言った方が語弊は少ないだろう。


そんな後藤田の仕事は多忙で、、、

入学式の日に新入生代表挨拶を務めていた

"快活で眉目秀麗"な彼女の姿は、

既に卒業したかのように、今は見る影もない。


その反面、生徒主体のクラス経営に成功した宮島たか子は、職員室での名声を確かなものにしているらしく、、、

そのフザケタ"天然ぶり"に、男性教諭たちのほとんどが骨抜きになっているらしい。


この情報は全て中島ゴシップ市場から仕入れたものだ。


< 3 / 251 >

この作品をシェア

pagetop