小さな幸せ
葵ちゃんが更衣室で待ち構えてて

「良かったじゃん?

 上手くいってるみたいで。」


「うん。」


「後で事務に差し入れしときなよ?

 保護者でない見学者はNGだってブツブツ言ってたから。」


「わ、わかった。」


ちょっと優しい顔して、


「あたしがいなくなる前に好きな人できて良かった。

 上手くいくように祈ってる。」


「うん。」


「バイバイ。」


ぎゅっと抱きしめられて


「葵ちゃん?」


フフッっと笑った葵ちゃんが、


「わっこはあたしの一部みたいだったからおいてくの辛いなあ。」


「今日までなの?」


「まだ、こっちにはいるんだけど、有給消化と引っ越しの準備でね。」


「あ、葵ちゃ~ん。」


「こっち来たら連絡またするから、

 ほら、彼待ってるじゃない。

 行きなさい。」


「うん、また連絡するからね。」


慌てて着替えて、タイムカ-ド押すと外に出る。


駐車場に笑ってる土方さんがいて

でも、心は未だ葵ちゃんの傍にいたくって

目元まで涙が盛り上がってて

笑顔作れなかった。












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