小さな幸せ
「惣さんはやっぱり学校の先生なんですね。」


「え、どうして?」


「だって、良くできましたなんて…くすっ」


惣さんは笑ってたけど、ちょっと真顔になって、


「さっきの…人だけど。」


「さっきの?」


「ああ、和実が着替えてる間、ちょっと話したんだけど。」


「?」


「さっき一緒にいた人だけど。」


「ああ、覚君。そっか見てましたよね、

 あれ惣さんが見てるの知ってて

 わざとふざけてやったんですよ。

 いつもからかうんです、

 あたしの事、気にしないで下さい。」


「そう、君がそういうなら…いいや。」


「ふふっ」


「どうした?」


「敬語の『ですます』が外れたんだと思って。」


「ああ、くたびれるしね、いいよね?」


「はい、親しく慣れたんだって嬉しいです。」


「そういう君はまだ敬語だよね?」


「あ、あたし、もう癖になってて、

 だんだん治るかもです?」


「ふっ変な日本語。まいいや。」

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