赤い狼と黒い兎Ⅱ
「てっめ!マジで潰すぞ!!」
「やれるもんならやれよ!」
双子と麻友美、春架が一緒に喧嘩をおっ始めようとする。
そしてまたもや周りの奴等はあたふたと慌て始める。
「アレ、止めなくていいの?」
横にやって来た亜稀羅が春架達を指差す。
あたしは無表情で
『…上からバケツでも引っくり返してやったら、いいんじゃね?』
と言った。
もういちいち止めるのも面倒だ。
「そっか。ならバケツ持ってくる!」
『は?ちょ…』
あたふたの言葉通り本当に実行しようと、バケツを取りに行ってしまった亜稀羅。
…弟よ、何でそこまであたしに従順なんだ。
亜稀羅は片手にバケツを持ってくると、急いで階段を駆け上がり春架達目掛けて中身を、出した。
―――バッシャ!
「うっわ!?」
「冷た!」
「「何!?」」
4人は同時に上を見上げ、バケツを持っている亜稀羅を睨んだ。
「てめぇ、亜稀羅!何しやがんだ!!」
「降りて来い。つかそのバケツ貸せ」
春架と麻友美がそう言い放ち、双子は無言で亜稀羅を睨んでいた。
…有言実行とはまさにこの事だな。
あたしは深い溜め息をついて階段を登った。
「何って…。頭冷やすために水ぶっかけてやったんだけど?」
俺、優しいでしょ?、と言わんばかりに首を傾げる亜稀羅。
…そんな弟が怖くなったあたし。