赤い狼と黒い兎Ⅱ
「はぁ!?ふざけんな!おかげでびしょびしょじゃねーか!」
「マジ考えらんねぇ…」
げんなりとする2人に、亜稀羅はニッコリと笑みを貼り付ける。
「それはこっちのセリフだぜ?…馨に面倒な事ばっかやらせてんじゃねぇよ」
低く、威嚇するように言った亜稀羅に4人は言葉に詰まる。
あたしはそんな4人を上から見下ろし、
『お前ら、倉庫の掃除1週間な』
一言そう言った。
下からブーイングが起きたが、一切無視。自業自得だろ?
誰も本気で喧嘩しろ、なんて言ってない。
『それと、幹部集合ね。お前らは服替えてから来い』
亜稀羅と幹部部屋に入り、ソファーに座った。…途端に眠気がやってきた。
「ねぇ、馨」
『何?』
「集合って、何で?」
きょとんとした顔で聞いてくる亜稀羅に、ふっと笑みをこぼした。
『みんなが来たらね』
すると幹部部屋のドアが開き、そっちを見ると唯兎を先頭にみんなが入って来た。
「馨」
「なんかめっちゃ叫んでたけど?」
きっと春架達の事だろう。「放っといていいよ」と言うと、郁は苦笑いして向かいのソファーに腰を下ろした。
ちなみに左隣に亜稀羅、右隣に唯兎が座ってる。…まぁいつもの事なんだけど、近い。