聖石戦隊 キラレンジャー
前半はいい試合だった。

サッカーはあまり詳しくない哲平が見て、ボール支配率は高城台高校のほうがなんとなく上な程度。
どちらも引かず、しかし決めきれずといった感じだった。

五人のミッドフィルダーがボールを拾ってアシスト、ワントップの健介にまわすことが多い。
健介を応援するつもりで来た哲平にとって随分そわそわさせられる展開だった。

「あのキーパーけっこう上手いんじゃね? 健介けっこういいの蹴ってるぞ」

「そうだねー。
 哲平くん、シャケと梅どっちがいい?」

顔の前におにぎりを並べる。

「お前なにしに来たんだよ・・・ちゃんと応援しろっつの」

しっかり食べて燃える応援。それが悠月スタイル。

「だいじょーぶだよー、ちゃんと見てる。だいたい面白くなるのは後半からなんだよ」

予想を裏切り、試合が動いたのは前半ロスタイム。

高城台高校、反撃からの一斉ダッシュで、もちろんボールを託されたのは健介。

いいラインだ、壁もない。

このままボレーシュート! 

ところが若干足元が狂う。しまった。


ボールは、綺麗に飛んでゴールネットを揺らしていた。

客席から盛り上がる歓声。駆け寄ってくるチームメイト。いつもならここでダンスパフォーマンスのはずだけど。

あれ、いま変な方向に曲がらなかったか?


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