深海の眠り姫 -no sleeping beauty-





頭半分だけ出し、改めて私は芦谷さんを見る。


いつもはきちんとセットしてある髪も今日は休日だからか簡単にかきあげるだけ。
男らしい精悍な顔立ちは相変わらずで、芸能人でもここまで端整な顔立ちの人はいないくらい。


(この人が私の好きな人)



「…なんだ?顔真っ赤にして」


芦谷さんのことをそう意識してしまい無意識に顔を赤らめていると、彼の指が私の鼻筋をなぞる。



「目ェ覚ましたんなら早く起きろよ。まぁ、起きないでこのままイチャイチャしたっていいんだけどな」


そう言いながらニヤリと笑う芦谷さんに、私は無言で布団から脱出した。
ぎこちなく動き出す私を見て、芦谷さんは盛大に笑い出すのだった。





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