深海の眠り姫 -no sleeping beauty-





「直人さん!会いたかったぁ」


そう言って直人さんに抱きつくのは、モデルの瀬里香さんで。
肩や足を大胆に露出したピンク色のドレス姿に、周りの人は息を呑む。


しかし、直人さんだけは至極冷静だった。






「ねぇ、ずっと連絡待ってたのにどうしたの?今日会えるの楽しみにして――…」


私に見せつけるように直人さんの腕に自分の腕を絡める瀬里香さん。
二人があんまりにも絵になっていて私が思わず後ずさると、直人さんが口を開いた。



「環、親父たちに顔も見せたから出るぞ」


その言葉にぽかんとしていると、直人さんは瀬里香さんの腕を静かに振り払った。





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