夕日塔の約束
稚鶴とは小学校が同じで、3年生の時初めて同じクラスになった。


小3の5月頃、図工の時間に私はケガをしちゃって、指から少量だけど出血。


『フェッ……痛いよぉ………』


泣きそうになった私を励ましてくれたのが――――…隣の席だった稚鶴だった。


『大丈夫?夕穂ちゃん。痛いの痛いの飛んでけーー!』


それ以来稚鶴は、私のかけがえのない親友になり………嬉しい時も悲しい時も、一緒だった。


そう………“あの時”だって、傍にいてくれたよね。


「稚鶴…ありがとう」


私の呟きは、誰にも聞こえないまま掻き消えた。
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