あなただけを愛したい
そのまま、ソファーにうつ伏せて



「行かない」


「はぁ?」



行って、何を話すの?


茜さんから聞いたことだけど、航はあたしと別れないって言ってくれている。


でも……



「とりあえず顔を洗ってこい」



やっちゃんにそう促されて、洗面所へ向かった。


鏡の前に立って……



「ほんとにひどい顔」



目を背けたくなった。


とりあえず、顔を洗った。


リビングへ戻ると、やっちゃんがソファーに座ってテレビを観ていた。



「お姉ちゃんは?」


「残業だってさ」


「そうなんだ」



お姉ちゃんに、今日の話を聞いてもらいたかったのに。



「さ、行くか?」


「だから、行かないもん」



そう言って、ハートのクッションをぎゅっと抱き締めながら、ソファーに座った。
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