モテヤンキーにコクられて
そんなことなら、あたしもブラバンに入ればよかったよ……。



「話しかけても、一言二言しか返してくれなかったけどね。『ウダウダ喋らず、体動かせ』って、冷たく言い放たれただけ」



へ~……そんなの、あたしも言われてみたい。



ポーッとなってると、サナの口調が少し厳しくなった。



「で、話は戻るんだけど。あれだけカッコよくて、運動もできて……ってなると、体育祭では目立つでしょ?

短距離とか出たら、一発でファンが増えるよ?」




うっわ、ホントだ……それはイヤかも。



胸がチクッと痛む。



「って言っても、行進曲吹くんでしょ? それだけでもう目立ってるよね……」



「まあね~。だから美桜も、これからちょっとずつ柴田先輩にアピールしていかないと」



えっ……アピール?



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