LOVE OF DISTINY〜最低で構わないから〜【完】
【6】吐いてはならぬ嘘

N//見せたくない姿




「成美ちゃん…起きた?」



「…誠之介…く…」



眩しい光。

暗い世界から抜け出した時、私は見覚えない部屋に居た。

カーテンが四方で締まり、マスクをした誠之介君しか居ない。



「私…ここ……」



「病院だよ。成美ちゃん、事故に遇ってね」



…“事故”?

私が事故に遇ったの?



「それで何だけど。手術の為に、その…」



「誠之介君…?」



「髪の毛を全部、剃ったのと。消えるらしいけど、顔や手足に怪我がね…」



誠之介君は気まずそうに言って、私の頭に被せといてくれた、歩ちゃんのニット帽に触れた。
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