LOVE OF DISTINY〜最低で構わないから〜【完】
手に乗せられたニット帽は、飾りっけのないシンプルな物で、被る前から自分に似合いそうだった。



「…被ったら、海斗に写メ送らせてね?」



「はい」



海斗のお母さんはきっと、私が今は脱ぎ着しないと、わかってくれたのだろう。

太目の毛糸で編まれてるが、細かく編まれてはない為、地肌が見えなくても、通気性が良さそう。



「ほら、食べないと変色するよ」



「…いただきます」



温かみのあるお母さん。

母親を亡くして、母というモノが、どんな存在か忘れてた。

自身のお母さん。

海斗のお母さん。

私は、2人のお母さんみたいになりたいな。
< 202 / 538 >

この作品をシェア

pagetop