LOVE OF DISTINY〜最低で構わないから〜【完】
それは成美も気付いたらしく、いつになく強気で「言えば?」と言った。



「…ん?何を言うの」



「私たち、今まで隠し事をした事ないよね?」



「……」



「そんなに言えない?」



俺は席を立ち、ビールがまだ半分は残るアルミ缶だけを持ち、リビングのソファーへと移った。

成美の問い掛けに、芽ちゃんは何も言わない。

でもしばらくすると、嗚咽と、鼻を啜る音が聴こえた。

驚きに顔を上げると、目が合った成美は、不思議そうにティッシュを箱ごと手渡した。



「……幸せな2人に…、言えるわけ…っ…なかったのよ……ッ」



怒りは悲しみを、カモフラージュする手段だったのかも知れない。
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