LOVE OF DISTINY〜最低で構わないから〜【完】
しかし、“妊娠”という壁は相当、デカイと思う。

いつもより少し早く朝食とお弁当を準備して居ると、海斗が起きて来た。

下川さんを見付ければ、頭を下げて、彼の正面に座った。



「昨日は、ありがとうございました」



「いえ。俺も言って良かったのか、迷うとこはありましたから」



海斗にもコーヒーを淹れると、下川さんは溜め息に似た息を吐いた。



「この年になって、若い彼女を縛ってしまいました。副店長を、押し付けてしまって、すれ違い。寂しい思いをさせて、今は後悔しかありません…。かと言って、結婚した事に、後悔はないんですけど」



思い詰めた表情。

下川さんは、本当に芽を愛してるとわかる。
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