LOVE OF DISTINY〜最低で構わないから〜【完】
「香椎さんは…そのっ」



眼鏡の奥で揺れる瞳が、俺を助けるように見た。

ニヤニヤしたおっさんの鼻息の荒さが、彼女には恐ろしいのだろう。



「……あ」



俺に気付いたおっさんは、顔を引きつらせた。



「これ」



「ありがとう、ございます…っ」



おっさんの存在を無視し、ボトルガムを買う。

出て来た成美から鞄を受け取り、手を握る。



「行くか」



「あ、…うん;;」



睨まれてるかのような視線に、成美も大層、居心地が悪そうだ。

居たたまれず、「出ろよ」と言ってしまった。

成美の前で、争いとかは嫌だが。
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