記憶が思い出に変わる時(仮)
「…ただいま」
リビングでビールを飲んでいる母親。
一瞬もこっちを見ない。
「東京…行くから」
そう言うと、視線をゆっくりと
動かした。
「とぉきょぉ~?」
だいぶ酔ってるみたい…
「うん、部活の合宿で」
「どーせ、カネでしょぉー?
適当に置いとくわよ~」
「…うん、ありがとう」
テーブルの上には
空の缶ビールが6本。
あれ以来何もないみたいだから
いいんだけど…
「何日?」
「土日だけだよ…」
「あっそ~」
もっと長く行ってこいって
思ってるのか
もはやどうでもいいのか。
…どっちも?
なんてくだらないことを
考えてため息をついた。