記憶が思い出に変わる時(仮)
「夜じゃねえみたいに明るいな…」
あたしたちは渋谷にきた。
…てか、日向と2人…
今さら…なんだけど
好きだと意識しちゃったら
そりゃ普通にはいられない。
「…り、優梨」
「えっ、あ、何?」
やば…
「何って…
これからどっち行くんだよ」
「あ、うん」
人ごみを避けながら
前に進むのが精一杯で
あたしたちには会話なんてなかった。
「ここ…」
そこには
白い壁の普通の家があった。
窓からは光が漏れている。
「小野さん…」
陽希の名字は住吉だもん…
ここに、
陽希は住むはずだった。
楽しく過ごせるはずだった。
もしかしたら
あたしもここに遊びにくることに
なっていたかもしれない場所。
陽希が
生きたかもしれなかった場所ーーー…
「…っ」
涙は置いてきたはずなのに。
「…ふ…」
溢れて止まらないよーー…
「日向…?」
「…」
あたしは日向の腕の中。
「気が済むまで泣けよ」
その言葉で何かが
外れたようにあたしは
泣いていた。