罪語りて所在の月を見る
最初は阿行がおぶさる人物は不特定多数でいつ誰におぶさるかも分からない梅雨前線みたいなものだったが、渉と出会ってから、阿行はよく渉におぶさることが多くなった。
阿行さんおんぶし隊というファンクラブ会員が三桁になる直前のできごとだ。無論、他男子たちが黙っているわけがない。「その乳は俺のもんだあぁぁっ!」と言わないものの、皆その闘志を胸に秘めて渉に楯突くわけだが――誰一人として渉に傷を負わすことができなかった。
とあるヒャッハーの言い分では、「あいつは、えすぱーだ」と攻撃全てを受け流す超能力があると語る。
当たらずも遠からずと言ったところか、今の渉にはどんな攻撃も通用しない、渉に届かせない“呪い”がかかっていた。