罪語りて所在の月を見る
某ファストフードCMらしく叫ぶマッチョたち。阿鼻叫喚にも近い絶叫だ。
性格と立場ですれば溝出など恐れる奴はいずとも、初見で率直に見れば、『喋る人骨』だ。
恐怖の塊として昔から語られ、人間の怖さを煽る骨は、そこにいるだけでいい。
悲鳴をあげ、逃げようにも慌てすぎて転倒。それに足をひっかけてまた転ぶと、人間ドミノみたいなことが起こった。
「――、ははあん」
その久々な場面、いつもならば殴られ叩かれ遊ばれな噛ませ犬魂が身に付いた溝出にしてみれば、『何やってんだ、こいつら』と久々すぎて自身を怖がっていると気づくのに間があったが。
キラーンと溝出が煌めいたのを渉は見逃さなかった。