蒼幻の天使~A Solitary Flower
男はしゃがみこんでいる私の前にひざまづくと、右手で私のあごをつかんで引き寄せた。

「な、なにするの!?」

間近で見ると、男の顔は月光のような美しさと儚さをはらみ、その深い蒼の瞳に吸い寄せられるように、私は彼から目をそらすことができなかった。

「誰よりも美しい蒼の瞳だ……リアナ」

そう言うと男は私の顔をグイっとミラーに向けさせた。

「!?」

これ…私……!?

今まで見たこともない瞳だった。

ミラーに映っていたのは、蒼く輝く瞳をもった少女。

そして、さっきの女性の姿は跡形もなく消えていた。

「どういうこと?あなた、誰なの?」

「その質問、そっくりそのまま返す」

男は再び私の顔を自分の顔に引き寄せると、深い瞳で全てを見透かさんとばかりに見つめて、冷たく言い放つ。

「お前は、敵か?味方か?いったい、誰なんだ?」

ママ。

教えて……。

私は、誰なの?

私のこの能力は、なんなの!?


胸の一番奥深く

蒼の炎が激しく燃えたぎるのを感じながら

私は

初めて

自分の存在の意味を


……知りたいと、願った。




< 13 / 116 >

この作品をシェア

pagetop