満月の日の夜【短】


慰められるのは一番嫌いだ。


可哀想?ふざけんな。


俺は今ここに生きているんだから可哀想なことなんて一つもない。



でも、

臆病な俺は黄菜にもそんな言葉をかけられるのが怖くて
言えずにいたんだ。



それに、言えば黄菜は泣くだろう。


俺のために泣いてくれるのは嬉しいけど
何よりも黄菜の笑顔が好きだったから、
泣き顔は見たくなかったから、

余計言い出せなかった。


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