攻略難関なイケメン君。
その影がだんだんと大きくなっていくことからこちらに近づいてきてるのだろうと思ったあたしは、反射的に後ずさりをする。
「・・・なんでこんな所に居るの?」
か細いけど低くて聞き取りやすい声が影の方から聞こえた。
でも、そんなのこっちの台詞である。
「貴方こそっ・・・!なんでここにいるのよ・・・。」
オウム返しに尋ねたら、その影は鼻で笑いやがった。
そしてさらにあたしとの距離を縮めてきた。
「さぁ?・・・ここが好きだからかなぁ?」
感情のない声とともにとうとうその影の全貌が明らかとなった。
不思議な雰囲気を放つ黒髪。色素の薄い唇。すらっと通った鼻。日焼けの全くしていない白い肌。
長身でやや細身のそいつは一般で言う草食系のイケメンに近い気がした。
いや、一つを除けば完全に草食系のイケメンだ。
・・・そいつは眼鏡をかけていた。
しかも透明な色をしている眼鏡ではない。こちらが見えてるのか全く分からないほど白色をした眼鏡をかけていた。
これでは台無しだな。
そう思ったあたしだけど自然にそいつに見とれてた。
ダサい・・・かもしれない。でも周りを囲むその雰囲気にあたしは魅入ったのだ。
見とれてるとそいつは怪訝そうに眉を寄せて言った。
「君はなんでここにいるの?」