幼馴染みに奪われました
ーーーーーーーーー………‥‥‥
「…ありがと、翔。 おかげでとまったよ」
「なぁ」
あたしは鞄から取ったハンカチで最後の涙を拭っている最中に、突然口を開いた翔にビックリした。
「ん? 何?」
「あの…さ、今日オレん家泊まれよ」
突然の申し出に、
「えっ…どうして?」
顔を少し歪めながら、
「お前、今日自分ん家帰んの辛いんじゃねぇかなって思って……。」
「…あ~、そっか~。ん~‥‥でも翔に迷惑かけるし…」
「いや、そんなん全然思ってねえよ?」
「………。」
考え込むあたし。
確かにこのまま家に帰ったら、お姉ちゃんと会うことになる。
でも、これだけは避けたい。
会わせる顔がない。
いつも仲の良い姉妹がいきなり仲が悪くなる。っていうのも嫌。
考える時間がほしい。
整理させてほしい。
なら……‥‥
「…じゃ、お言葉に甘えさせてもらいます。宜しくお願いします。」
ペコリとお辞儀をすると、
「…なんか、鳥肌立つからやめてー。」
とか笑いながら、泊まらせてもらうことになった。